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日タイロングステイ交流協会

日タイロングステイ交流協会便り(2022年9月)

2022年09月25日(日)

長期居住者ビザ(Long Term Resident)

タイ BOI ウェビナー(8 月 4 日) 講師: BOI スマートビザ部 ラオプラ氏

 

1 新しい LTR ビザ導入の背景(私見)

 アセアンの投資庁・投資委員会(マレーシア MIDA、フィリピン PEZA など)のセミナーでは これまでビザがメインテーマになったことはなかった。(タイBOIの反省と焦り?)
 タイ経済は、プラザ合意以後の外資導入・外国企業進出で急発展してアセアンの優等生であった。しかし「中進国の罠」に嵌まって 最近は競争力低下・低成長国である。2016年新長期経済政策「タイランド4.0」はこの罠を脱して先進国を目指している。先進重点産業やEEC地区を指定しているが、産業構造転換は人材育成がポイントであり、相応の期間が必要である。そのため 2018年2月・BOI主導で「タイ産業高度化に必要な高度人材を呼込むスマートビザ」を導入した。分野は「タイランド4.0」重点産業で、人材は(T、E、I、S)に分類。(ビザ発給当初 在日大使館・領事館は外部からの照会・相談に回答不可、審査不能だった)

2 長期滞在者ビザ Long-term Resident Visa

 現在のタイ長期滞在ビザは就労可能な Bビザ、年齢制限無しのエリートカード、ロングステイ OX(5年+5年)・OA(1年で延長可)、年金・退職 O(1年)、医療 MT(1年)等があり、そこに BOI のスマートビザと LTR が入ってきた。スマートビザの反省(BOI 独歩)と失敗(2121 年まで日本人スマートビザ取得者は僅か 22 名)から、LTR 導入では 広報セミナー開催や受付開始案内も在日タイ大使館 HP に掲載をしている。

① 対象としては
*富裕層(1M 米ドル以上の資産) *50歳以上で年金等の安定収入取得者
*対象産業分野の事業所・高等教育機関・タイ政府機関で就労する専門職であり、ノマドやリモートワ-カーも含む。
② 発給数目標は 5年間で100万人。ワ-クパミット付与、所得税は最高17%、入管への90日ルールは1年に延長、外国人1人に対しタイ人4人雇用の適用外。
③ 9月1日から申請受付。 窓口はバンコクの BOI で(在日大使館・領事館ではない)、承認後60日以内に在外大使館・領事館にタイ入国を申請する。

3 各国の激しい「高度人材獲得競争」 星国(シンガポール) 泰国 英国

① タイ BOI 新長官(10 月 3 日昇格)は「泰国はテクノロジーや知識をベースの産業に集中するので、高度の専門性やスキルを持つ人材が不可欠」と発言(9 月 19 日日経新聞)。
② ンシガポ―ル(先進富裕国、GDP/人は日本の1.5倍、タイランドの8倍)は 2023 年から、富裕層(複数企業勤務可)に5年滞在のビザを発行する。なおIT人材・研究者・学者・スポーツには別途配慮。 政府は「資源のない星国は、高度人材が唯一の資源」と発表。
 このような競争環境の中でタイランドが目標達成できるか?
 BOI 講師が「LTR ビザはマレーシの MM2H に近い」との 誤解発言も気になる。
 MM2H は(タイ OX ロングステイと同じく)原則就労不可である。
③ MM2H(Malaysia My Second Home)
長年 世界各のロングステイヤーに有名で好評なビザであり、就労は不可である。2002~2019 年で取得者は約5万人、1位の中国人は 30%、2 位日本人は 10%の約 5 千人。マレーシアがロングステイ人気国として、日本で 16 年間圧倒的トップであるのは、このビザをマーシア官民他が一致団結して支援してきた結果である。
* 条件が最も良い(低い)のは、フィリピンの SRRV (Special Resident Retire’s Visa)であり、就労可能である。

4 協会活動

 長年 A 就労しない(できない)海外長期滞在者の支援と情報提供 B 海外(韓国・中国・泰国など)の電子・電機・IT 企業への技術者・専門家の紹介 を行ってきた。A の滞在者は 充実した生活のための住居、健康医療、付合い、買物、ビザ、税金などを重視。 B の技術者・研究者は 報酬、職場・研究の待遇・環境、職務権限・責任を重視、ビザや税金は企業などにお任せ。 従って B にはビザの改善・手直しなどの効果は少ない。

5 命のビザ

 日本が世界に誇れる歴史的ビザは、暗い時代 1940 年(世界大戦中)に明るい光を放った「命のビザ」と思う。当時ナチス・ドイツはユダヤ人の排除・絶滅を図っており、逮捕されるユダヤ人は死を免れない。カウナス(リトアニア)の日本総領事館領事代理・杉原千畝はユダヤ人に対し、領事館閉鎖前の1カ月間で日本入国可能なビザ6000枚を手書き発給して命を救った (独逸とは同盟関係の日本の外務省の反対を無視)。

以 上

 

 引き続き 日タイ ロングステイ交流協会へのご協力ご支援をお願い致します。

日タイ ロングステイ交流協会
理事 事務局長 上東野幸男

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