日タイロングステイ交流協会便り(2021年5月)
2021年05月31日(月)
4月号は タイ王国と日本のコロナ関連情報をお届けしました。5月号 はロングステイ関連の新しい流れを配信いたします。
1. 最近のロングステイ人気地域・国・地方 ― ロングステイ財団発表
ロングステイ 人気地域・国のランキング (ロングステイ財団)
① マレ―シア(14年連続1位) ②タイランド(9年連続2位) ③ハワイ ④比国 ⑤台湾 ⑥豪州 ⑦ 尼国 ⑧越国 ⑨シンガポール ⑩ カナダ
*トップ10にはアセアンを中心にアジアの7カ国・地域が入っている。
国内人気は13年間連続で1位沖縄県、2位北海道。最近の各自治体の誘致活動(住宅・就活・育児・地元交流などの支援)や新しいワーケ―ション、デュアラーやノマドワーカーが反映されていないのは海外同様サンプルに疑問がある。
「ロングステイ」という言葉は長年使用されている和製英語で、ロングステイ財団が「LONG STAY」を登録している。財団は1992年設立(当時の通産省管轄)され、「ロングステイ関連団体の代表」として評価されている。イベント・セミナー開催、情報提供・教育等を実施しているが、ロングステイヤー数値などは発表していない。 唯一「ロングステイ人気地域・国・地方」」を毎年発表しているが、これは財団開催のイベント・セミナー参加者対象のアンケートの集計結果であり、限定サンプルの数値処理には統計として疑問を感じる。 また 発表は順位だけで、数値評価はない。
従って 日タイロングステイ交流協会は 在タイ日本大使館やチェンマイ総領事館の在留邦人統計の内容から推定している。
最新の海外在留邦人統計(2019/10/1)はコロナ感染以前であるが、以下のとおり。
アセアンでは マレーシア 26701人 タイランド 79123人 比国 17753人
尼国 19435人 越国 23198人 シンガポ―ル 36797人
ビジネス関連でタイランドとシンガポールは長年上位で変わらないが、越国が(在日越人の拡大と呼応して)急増し、尼国は減少気味である。
マレーシアとタイランドは 本年5月にコロナ感染が急増。マレーシアは6月1日から全土でロックダウン(都市封鎖)、 タイランドは延長続きの昨年3月発令の非常事態宣言をさらに7月まで2カ月延長する。
「海外ロングステイヤー」の人数は、就労や教育・留学・治療などの滞在を除く在留邦人の比率(過去)から推計すると タイランドは約16%の126百人(チェンマイでは過半数の60%)で世界1位。 人気のマレーシアは 約25%の 67百人である 。
2.ロングステイの新潮流 「ノマド」
第93回 米アカデミー賞(作品賞・監督賞・主演女優賞)に「ノマドランド」が選ばれた。 古いキャンピングカーで暮らし、短期雇用で各地の職場を転々とする「現代のノマド(遊牧民)」の姿が描かれている。
移動生活者としては歴史的・民族的にジプシー(Gypsy)であるが、Nomad(英語)は新しいタイプの「遊牧民」である。 従来のロングステイの定義である「不就労・ロングステイビザ取得・日本が生活の本拠」などの定義からは外れているが、数年前から日本人ノマドワーカーも「新しいスタイルのロングステイ」として注目されてきた。
* 米国のノマドワーカーは昨年1900万人(前年5割増)
さらに コロナ禍でリモートワーク、ワーケイション、デュアラー(複数拠点居住者)などの新しいロングステイの中で、IT専門知識のあるノマドワーカーの活動は国境を越えている。 このような状況から、コロナ感染長期化で観光客が激減した東南アジア各国は、「ディジタル遊牧民」を支援優遇する施策を推進し始めている。
タイ王国の例
タイランド4.0は中進国の罠を脱し、先進国に移行するための重点経済施策であり、12のターゲット産業を指定している。ディジタル化・効率化・高付加価値化を目指し、技術と人材を重視する。2018年2月には「スマートビザ」を導入し、「労働許可なし・4年間就労」の恩典を付与したがが、発給は厳しかった。そのため発給条件(給与など)緩和や業務範囲も拡大されてきた。 *発給実績(3年間)は約63百人
従来からのロングステイ聖地チェンマイは、最近は「ディジタル遊牧民の首都」とも呼ばれるが、このようなIT専門家も4.0のターゲットとして注目されている。
従来も企業に所属しなかったIT関係フリーランサーはさらに各国で増加している。
以 上
引き続き 日タイ ロングステイ交流協会へのご協力ご支援をお願い致します。
2021年5月31日
日タイ ロングステイ交流協会
理事 事務局長 上東野幸男