日タイロングステイ交流協会は、健全で安全なロングステイライフの実現を目指しています。

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日タイロングステイ交流協会

タイの医療

1.タイの医療施設

滞在地によっては状況が異なることがあります。協会事務局までお問合せください。

 

一般医療

  • 医療機関 (大別して4つのスタイル分けられる)
    • 私立総合病院 (ほとんどが24時間開いています)
      200床以上の病院。日本語を話す医師・看護婦がいる所があります。
    • 国立総合病院
      大学系の病院でタイ語での利用となり長時間待たされます。
    • 私立メディカルセンター
      ビジネスビルなどに開業しており、日常の利用に便利です。
    • 個人診療所
      総合病院との掛け持ちが多い。日本語を話す医師もいます。
  • 医療技術
    タイの若手の医師は大変高い技術を持っています。それは、見習い期間からかなりの実地経験を積んでいて、少々荒っぽいかと思う節がありますが、医療技術は信頼がおけます。   
  • 医療費用
    海外旅行者保険が適用される病院がほとんどで、入院する際など、高い保証金や治療費代を保険でカバーできます。もちろん一般治療も保険が適用されます。生活習慣病などの持病は、契約時に保険会社と先に相談ください。

    ★日本の健康保険を利用する場合は日本から申請用紙を持参し、病院の証明により、帰国後に払い戻しを受けます。

 

歯科医療

日本で訓練を受けた医師や日本語ができる医師も多く、日本語で治療についての話し合いが可能です。全ての治療に保険は適用されませんが、入れ歯など日本よりも安く治療できます。上記のとおり一部は日本の健康保険も使えます。

 

日常のヘルスチェック

日常の健康管理が最も大切なことです。水やナマ物など食生活での注意や気候(暑さ)、風土病・狂犬病などへの注意が必要です。

 

2.瘴癘の地からアジアのメディカル・ハブへ大変身したタイ王国

タイ長期滞在での健康管理・疾病について

日本人の海外長期滞在についての最近動向はロングステイ財団の「ロングステイ調査統計2007」(サンプル3093名)で詳細を知ることができる。

  1. 年齢は50歳代(38%)・60歳代(30%)が中心(70歳代は7%弱)。平均年齢は男性57.4歳・女性49.7歳と低下傾向にある。
  2. 海外滞在経験者は 32%であり、全体の滞在希望国・地域は安・近・暖のアジアにシフトし、マレ-シア(第1位)・タイ王国(第3位)・インドネシア(第8位)・フィリピン(第11位)が躍進している。
  3. 不安に思うことは 医療(25%)・言葉(21%)・治安(21%)が上位である。
  4. 従って入手したい情報も 医療(1972名)・住居交通情報(1304名)・緊急時の対応(963名)・異文化の注意情報(944名)が上位である(複数回答)。
  5. 希望滞在期間 は3ヶ月未満が58%、3~6ヶ月未満が18%である。また経験者の実際の滞在期間は3ヶ月未満が45%、3ヶ月~1年未満が19%である。

この状況を踏まえてロングステイライフにとって特に重要あり、関心の高い「健康管理・疾病・医療(タイ王国)」に焦点をあててみる。

 

こわかったタイ王国イメ-ジ

「瘴癘の地」と聞くと、通常「熱帯アフリカ・黄熱病・野口英世」などを連想する。

タイ王国についての著作・論文が多い大先輩・斎藤親載氏は「太平洋戦争後、タイ王国から11万人の兵士が続々と日本に帰還してきたが、マラリア罹病者が多かった。当時(1940年頃)のタイ王国は瘴癘が蔓延する未開地で、富裕層はビルマ(ミャンマ-)のラング-ン(ヤンゴン)やベトナムのサイゴン(ホ-チ-ミン)に買物旅行をしていた」と述べておられる。 註:「瘴癘=しょうれい」は 熱帯の気候風土に起因する熱病や皮膚病のこと。

最初の日本人海外長期滞在者は軍隊(兵士)であった。戦時中、タイ王国の日本兵士は「死の鉄道」と呼ばれた泰緬鉄道の建設(映画「戦争に架ける橋」の舞台・カンチャナブリ県)や無謀なインパ-ル作戦失敗による「地獄の敗走」(北部のメ-ホ-ソン県・クンユアム郡)などで数万人の命が散ったのである。また死亡は戦闘よりも、悪環境(気候・自然)の中での疲労・ストレス・栄養失調の身体にとりついた風土病が主原因であった。

註:*泰緬鉄道建設では多数の欧米人捕虜や現地人を過酷な条件下の流行病で死亡させた。 *インパ-ル作戦では日本兵の戦死者32千人・戦病者40千人・帰還者12千人。

白骨街道となったメ-ホ-ソン地域でも死者7千人といわれる。ミャンマ-国境に近いクンユアムには住民のご好意による日本兵の遺品を集めた戦争博物館がある。

約60年前(小学生の時)、父親(戦時中・戦後もビジネスマンとしてアセアンに長期滞在)のアルバムに「耳を抑えている横顔」の写真があった。「タイの水(掛け)祭りで、水鉄砲の汚い水が入って重症の中耳炎になった」と聞いた時から、「タイは不潔の国」のイメ-ジが定着した。

ところが20年前(40代後半)、長年逃げまわっていた海外勤務がタイ王国になった。会社の診療所の診断を受けたところ以下の指示があった。

  1. 熱帯気候で空気の悪いバンコクでは肺結核(30代後半・入院6ヶ月)の再発に特に注意し、定期検診をすること。
  2. 赴任前に肝炎などの予防接種をすること。
  3. 個人用救急箱(会社支給の種々の薬・応急手当用品の入った)は必携のこと。
  4. 多量の狂犬病ワクチン(タイ駐在者全員用)を運び、現地自宅の冷蔵庫に保存すること(当時のタイの狂犬病ワクチンは副作用の心配があった)。

 

亡父との強い縁・絆のあるタイ王国ではあるが、以上のような経緯から「傷病の危険度が高く、かつ医療の僻地に行く」覚悟で赴任したのであった。

 

身心の健康管理と快適環境づくりが重要(自己体験)

健康維持は個人の心構え・実行が基本

結核罹病後の40代からは、自己・他人の健康管理に関心を持つことに変わったが、更にタイ王国では異なった自然・職場環境や生活習慣を積極的に受け止め、プラス志向でストレスを溜めない生活に務めた。ゴルフなど運動機会に極力参加し、大切な休養はエアコン・扇風機を併用し温度・風向も調節、ベッド位置変更など快眠できる環境作りをした(但し体重だけは連日・昼夜の国内外来客とのお酒付き中華コ-ス料理が多く、6kg増加した)。その結果 友人達が経験した風邪・食中毒・A型肝炎・ストレス胃炎・ノイロ-ゼ(うつ病)にも無縁で、日本からの薬も全く使わず、体調不良は1日もなく、病院には定期健康診断だけお世話になった。

バンコクの大手私立病院の健康診断は(それまでの日本の健康診断より)低価格の上、内容も充実し、ホスピタリティが溢れ、日本に留学した医師が診断し、診断結果報告も日本語である。日本・タイ王国と二重生活の妻は偶然バンコクの健康診断の腹部超音波(エコ-)検査で腹水が発見され、早期手術ができたのは幸いであった。

エコ-検査は小生もタイ王国で初めてであったが、一方最近の日本の健康診断でも未だ基本項目にはなく、オプション扱いである。

当時 会社では多くの駐在員を派遣している事業所(工場)から医師の健康巡回があり、労働組合からも生活環境視察もあった。これは健康管理に有効であるばかりでなく、社員・家族のモラ-ルアップや企業イメ-ジ向上に貢献するものである。

 

タイ王国の病気・傷害への対策

  1. 風邪や冷房病(高温の外気と室内の気温差)には着衣のこまめな調節。
  2. 熱射病は帽子・着衣で防止。ゴルフは傘持ちキャディも。
  3. 蚊が媒介するマラリア・デング熱・日本脳炎は地方に多い。殺虫スプレ-を用意してホテル室内にも早めに撒布。
  4. 食中毒・赤痢・A型肝炎などには手洗い励行、生もの・生水・氷・カットされた果物を避ける。有名日本レストランの「ざる蕎麦の鶉卵」での食中毒もある。
    生牡蠣などタイ人は大丈夫でも、日本人は腹痛になることもある。
  5. 肝臓に良くない使い古しの油を使っている屋台調理品は連食しない。
  6. 狂犬病・破傷風の危険のある野犬はぐったりして寝ていても避けて通る。
  7. ブッシュやゴルフ場では蛇や蟻の居そうな所に近づかない。防虫や草かぶれ対策の服装(長ズボン*特にジ-ンズなど)を心掛ける。
     *タイ郊外の電柱上部に青いビニ-ル風の帯が巻かれているのは蛇対策である。
    蛇は青色を嫌うのでジ-ンズが有効と聞いたが、真偽は定かでない。
  8. ストレス対策は「郷に行っては郷に従え」に徹して、タイ国・タイ人のやり方を受入れてイライラしない。

 

ロングステイと健康増進・若返り

  • 時期・季節

タイ王国旅行のハイシ-ズンは乾期(11月~2月)である。 ロングステイの目的にも・効果にも健康増進や病気症状の軽減が強調されているが、この時期は日本人にとって避寒や花粉症対策にも最適である。個人的意見としては、春の桜・秋の紅葉は日本に居て、冬の避寒はもちろん日本の夏の酷暑(高湿度)脱出のためのタイ ロングステイをお勧めする。

  • アンチ エイジング

タイ王国滞在中に心身の改善や若返り策を実施した友人・知人も多い。

  • レ-ザによる近視矯正
  • 歯の治療(インプラントも)
  • タイ伝統マッサ-ジ
  • エステ
  • 美容整形

これ等はタイのレベルが優れていて、低価格でもある。またタイ人にとって、マッサ-ジは伝統的に投薬・医者に優先する体質改善・病気治療でもある。

  • 風土病について

日本にはないタイの風土病を理解して、2-② の対策をしても罹病することもある。特にワクチンなど予防接種がない「マラリア」について、WHOは「未だ世界全体で年間3億人以上が罹病し、150~270万人が死亡。また旅行者が本国に帰国して発症する例も3万人程度」と推計している。問題は日本では治療薬を常備している医療機関は限られ、医師の認識度が低く治療の遅れで死亡するケ-スもあるので要注意である。

 

持病・急病等への対策

ロングステイヤ-の中には自分の健康を過信したり、健康管理をおろそかにする人も多い。多くの高齢者は持病があり、環境変化・飲食・ストレスの影響も受けやすい。外国で糖尿病・心臓病・高血圧などの人が突然倒れて入院することはよくあることである。2006年海外で死亡した日本人5百名弱のうち病死は約3百名、脳卒中と心筋梗塞が主因である。

バンコク・チェンマイ・ホアヒン・プ-ケット・パタヤなどには日本語対応可能な病院があるので安心感はある。但し一刻を争う緊急時には、日本語に拘らないことである。日本語の通じる病院を探しているうちに手遅れのこともある。

また特に健康診断や治療で通院した医療機関がない場合は事前に(日本でも)英文診断書を作って携帯することが大切である。救急車で担ぎこまれても、病歴・使用薬・アレルギ-等の情報が伝えられるので確実な治療が受けられる。

 

治療費と保険

タイ王国は欧米に比べれば治療費はおおむね低廉であるが、病気や期間により大きな負担にもなる。病気・怪我・盗難を補償する「海外旅行傷害保険」に入れば、治療費はカバ-でき、キャッシュレスで受診できることもある。 但し持病や既往症はカバ-されない。

クレジット・カ-ド付帯の保険は適用範囲や補償額について充分確認しておくべきである。

2001年から日本の健康保険で海外での治療費についても(申請書により)受給できる。ロングステイには海外療養費支給申請書(診療内容明細書)を持参すべきである。

なお 海外旅行傷害保険も国民健康保険も日本に住民票のある人に限られるので要注意。

 

タイ王国の病院・医師

国公立病院・私立病院・クリニック・専門医院(歯科など)があり、バンコクの大病院は設備・システム・医療機器も整備されISO9002も取得している。日本の医師免許取得・日本留学経験の医師も多く、大手私立病院(株式会社)はこれらの情報を在タイ日本人に訴求し、日本人専用窓口も設けている。医療水準は昔の「瘴癘の地」のイメ-ジを完全に払拭する高いレベルになっている。

15年前の会社健康診断は周辺国の駐在員仲間もレベルの高いバンコクの病院で受診したが、今は更に手術・出産などもタイ王国で行い日本帰国も少ないようである。

 

タイ王国の対外国人医療施策 —メディカルハブやメディカルツ-リズムを提唱

タイ王国で治療をうけた外国人は04年100万人を突破、05年は120万超との調査がある。 タイ王国は *医療先進国で教育・訓練を受けた医師による高度医療技術 *低廉な治療費 *豊かな観光資源 *アラブやアジアからの交通利便 などを武器にして、海外からの患者を誘致する「メディカルハブ政策」を積極的に推進してきている。即ち「アジアのヘルスケア センタ-」をシンガポ-ルと争っている。

タイ王国で外国人の患者が最多のバムルンラ-ド病院は年間36万人中・日本人8万人、バンコク病院は同様に8万人中・日本人4万人と言われる。

一方上記のように外国人や裕福なタイ人を対象にする私立大手病院に優秀な医師が集中し、一般タイ人への医療サ-ビスがなおざりになるとの意見も出ている。日本でも医師の不足・地域格差が大問題であるが、人口が日本の半分であるタイ王国の医師数は日本の8分の1の約3万人である。また毎年誕生する新医師も日本が8千人・タイは1千人で先行き楽観はできない。

 

追 記

「健康維持は個人の心構え」2-①で、私個人の心構え・対策だけが健康生活に功を奏したように記述しましたが、決め手は周囲の皆様のご支援です。私生活・会社生活で最も身近なタイ人のメイド・運転手・秘書の皆さん全てに恵まれたお蔭でした。

メイド(個人):料理上手(和・中・洋・タイすべて)で、家事一切・食費管理も任せられ、小生の生活習慣にも苦言を呈す。 アットホ-ムの言葉通りの安寧感。

運転手(会社):首都圏の地理・交通状況を熟知し、全国のお取引先の場所も案内できる。真面目で口が堅い。移動中は安心して睡眠でき、時に演歌テ-プも流れる。

秘 書(会社):お取引先状況を知っており、会食時には客先の好みのお酒(ブランド)も車に積み込む気働き。下手なタイ語の誤りも修正。

 

ロングステイは自己責任・自立が基本ですが、タイ人との親密な交流・情報交換は日本人のロングステイライフを健全で充実したものにしてくれます。

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