カンチャナブリー旅紀行
2009年04月01日(水)
カンチャナブリー旅紀行

クウェー川鉄橋を渡るディーゼル列車
昨年12月にタイの中西部ターク県にあるプーミポンダムに行きましたが、今度は別のダムを見たくなりカンチャナブリー県にあるシーナカリンダムを見に行くことにしました。
今回の旅程は、
3/7(土)夕方にバンコクを出発、3/8(日)1日だけで行って来ました。今回は交通の便が悪いところであったため、私の旅で初めて公共交通機関を一切利用せず、会社の親友チャイリットさんの乗用車で何の心配もなく回って来ました。
クウェー川鉄橋で列車に遭遇
夕方5時半に会社を出発し国道4号線を一路西へ、途中ナコーンパトム県、ラーチャブリー県を経て2 1時にカンチャナブリーに到着。一泊300バーツ/室(扇風機のみ、2人相部屋)のゲストハウスを探し当て休む間もなく夜のクウェー川鉄橋の見物に出かけました。ところが夜のクウェー川鉄橋付近はほとんど照明もなく、これといった写真も撮れなかったので、明日の朝また訪れることとしてゲストハウスに戻りました。
翌朝6時に宿の前を流れるクウェー川を眺めながらまずはモーニングコーヒーで一服、周りの景色はいかにも南国風でゆったりとした気分になりました。朝早かったため朝食の用意がまだ出来てなく、仕方なくゲストハウスを出てクウェー川鉄橋に向かいました。クウェー川鉄橋には7時過ぎに着き、早朝の鉄橋や日の出の写真を撮っていたところ、何とタイミングの良いことか7時30分着の列車が橋の向こうからやって来たのでこちらも記念撮影です。
珍しい標識「象に注意!」
この日は回るところが沢山ありましたので、朝食もそこそこに次の目的地に向かいました。カンチャナブリーを走る国道は両側に道に被さるように並木がずっと続いていて、いかにも田舎の自然の残る道といった感じで、私はこの道を走るのが大好きです。
またこの辺は砂糖きびの畑が多く、そこここに砂糖の精製工場があって刈り取った砂糖きびを満載にしたトラックが行き来しています。さらにこの辺は手付かずの自然が多く残っているせいでしょうか、道端には「動物の飛び出し注意の道路標識」がたくさんあります。日本では見ることの出来ないものをいくつか見つけました。まずは「象」のマーク!

クウェー川鉄橋を渡るディーゼル列車(左) 珍しい標識「象に注意!」(右)
これは日本には絶対無いですね。そのほか「水牛」「猿」のマークなどもありました。
第二次世界大戦の激戦地にて
途中に地図で見つけておいた観光地カオ・チョン・カイに立ち寄ってみましたが、ここは陸軍の広大な訓練地で一般の人は立ち入り禁止のため、回りを眺めながら素通り。さらに走ること1時間ほどで最初の目的地「Nine Army Battle Historical Park(第二次世界大戦の戦争記念博物館)」に到着です。
第二次世界大戦のときクウェー川鉄橋のあたりからビルマにかけて日本軍と連合軍との間で激しい戦いがあったことは皆さんもご存知のことと思いますが、特にこの辺りは激戦のあった地域で双方に多数の戦死者が出ました。この博物館はこの戦いを後世に伝えるため建てられたものです。私が訪れた日は日曜日だったせいもあり子供連れの家族や学生たちが訪れていて熱心に見学していました。
博物館の中央にはこの辺りの地形を示す巨大なジオラマがあって、当時の激戦の様子をジオラマ(ランプで所在を表示)とTVの画面さらに館内の放送で細かく説明をしていました。残念ながらタイ語の説明でしたので、私にはほとんど分かりませんでした。すぐ前にある小高い山の上に登って周りをずっと見渡しましたが、辺りは自然の景色になっていて静まり返っていて、60年も前にここで戦争があったとは信じられませんでした。
シーナカリン・ダムの絶景
今回の旅の本命であったシーナカリン・ダムに向かいました。約 40 分で到着しましたが、ダムの規模としては昨年行ったプーミポン・ダムの方が大きいように思いました。シーナカリンという名前は現プーミポン国王のお母様のお名前ですが、タイでは国内にあるダムのほとんどに王族の名前が付けられています。この近くにはワチュラロンコン・ダム(王子のお名前)があり、さらに北にはシリキット・ダム(王妃のお名前)などがあります。
資料によるとこのダムはロックフィル式で高さが140m、幅610m、ダム湖周囲 130㎞、発電能力 35 万KVAとのことで、規模としては中位のものと思います。ただダムの堰堤は発電関係の堰堤とは別に、すぐ横にただ水を堰き止めるためだけの大堰堤があり、ここは土を盛り上げその上に石を積み上げたもので大変な工事だったと思います。堰堤の一部にダム公園があってダムの全貌を見渡すことができ、ここで一息入れることにしました。
エラワン国立公園に桜並木 !?
ダムからすぐ近くにエラワン国立公園があります。ここはバンガローやテント施設も完備され、カヤックを使った川下りや自然を楽しみながらのサイクリング、さらに数々の滝の見学や野鳥・野生動物の観察などができ、私も都会の騒音を離れて一度はこのようなところでゆったりと過ごしたいと思いました。

国立公園入り口でチャイリットさんと(左) タイの桜…遠目にはまったく日本の桜です(右)
広大な敷地内はとても1時間程度の時間では回りきれないと思い、案内板を見て一番近くの滝1箇所だけを見に行こうと歩き出しました。ところが行けども行けども滝が見えてきません。歩くことさらに 20 分、やっとのことで到着…が、滝といっても高さが1 . 5m くらいのものでがっかりしました。地図を見ると奥にもっと大きな滝があるようでしたが、この日は非常に暑くて、これ以上の歩行は困難と思い引き返しました。
公園を出てすぐの道路脇に桜並木がありました。といってもタイには日本の桜はありませんので、桜に似た花で一緒に行ったチャイリットさん曰く『パイヤー・スアクローン』という名前の花だそうです。形も色も日本の桜そっくりですが、ただひとつ違うのは日本の桜は花びらが一枚一枚ひらひらと散りますが、このタイの桜は花の頭の部分全体がボトンと落ちます。
アルヒル桟道橋の崖下を通る列車

崖にへばりついて走る列車
旅の最終目的地であるタイ国鉄のアルヒル桟道橋に向かいました。このアルヒル桟道橋は国鉄のタム・クラセー駅から歩いてすぐのところにあります。列車で来た観光客はこの駅で降りてこの桟道橋を見に行きます。ただ列車は1日に2本しかないので注意を要します。
到着すると何と幸運なことに列車が入ってきたので、崖下を通る列車の姿を撮ることに成功しました。列車が橋を渡るときは超のろのろで、しかも橋はギシギシと音を発します。冷房車でもないのに背筋にゾーッとしたものを感じることと思います。皆さん方もカンチャナブリーまでは行かれるチャンスはあるかと思いますが、できれば足を伸ばしてナムトクまで列車で行き、ぜひともこの桟道橋を渡ってみてはいかがでしょうか。
帰りの道でもすごい車に出会いました。前に話しました砂糖きびを満載したトラックです。砂糖きびが荷台から上左右に大きくはみ出したまま走っていました。今回はカンチャナブリーを1日で回ってきましたがかなりの強行軍で、ずっと運転をしてくれた親友のチャイリットさんには感謝感謝です。お蔭様で 20 時には無事バンコクに戻ってきました。
「コンテンツ提供:D-Mark Magazine」 ref.同誌第17号掲載PDF版