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日タイロングステイ交流協会

東北タイ旅紀行 ~~南イサーン3つの遺跡巡り~~

2007年08月01日(水)

東北タイ旅紀行

~南イサーン3つの遺跡巡り~

 

(パノムルン遺跡)本殿への上り口でにらみを利かす五頭竜

(パノムルン遺跡)本殿への上り口でにらみを利かす五頭竜

今月の旅紀行はイサーン地方(タイ東北部)の南部に点在するクメール遺跡のうち3箇所を訪ねて来ました。かなりの強行スケジュールでしたが、いずれも保存状態が良く見どころ満載!

ぜひ一度は訪れてみて欲しい遺跡です。

 

祠堂を飾る見事なレリーフ シーコラプーム遺跡

まず最初に訪れたのはシーコラプーム遺跡。場所はイサーンの入り口であるナコンラーチャシーマー(コラート)」から鉄道で東に約70㎞行ったスリンの次の駅、シーコラプーム駅のすぐ近くにあります。前日の夜10時にホアランポーン駅から列車に乗り、シーコラプーム駅には朝6時に到着。まずは駅前の屋台で腹ごしらえをしてから、いよいよ遺跡に向け出発です。

イサーン地方にはおよそ60ヵ所のクメール遺跡が残っています。そのうち入場料を徴収しているのは6ヵ所だけで、このシーコラプーム遺跡はその中のひとつです。以前に紹介したピマーイ遺跡や次に紹介するパノムルン遺跡といった絶えず観光客の訪れる有名な遺跡は、実入りも多く改修を繰り返していますが、その他のマイナーな遺跡は、一般的に公共の乗り物を使って訪れるには困難な場所にあって、実際訪れてみても人っ子ひとりいない場合が多いです。

シーコラプーム遺跡はそれほどスケールは大きくありませんが、鉄道の駅からも近く、また遺跡もしっかりした形で残っていて、特にクメール遺跡や彫刻に興味のある人には訪れる価値があります。楼門や経蔵といったクメール遺跡でお馴染みの建造物は残っていませんが、ラテライト石の基壇の上に5基のレンガの祠堂が残っており、特に中央の祠堂を飾るレリーフはお見事。ぜひとも一度は見て欲しいもののひとつです。

東門上部に掲げられたまぐさ石には、ヒンズー教の神々が描かれています。中央に一際大きく描かれているのが10本の腕を持ったシバ神で、その左下から右へシバの神妃ドゥルーガ女神、プラフマー神、シバ神の息子ガネーシャが順番に彫られています。ひとつのまぐさ石にこれだけの神像の彫刻があるのは珍しいとのことです。さらに左右の柱には、装飾としてインコをあしらった女神像や門衛像が彫りこまれています。残念ながらレリーフが残っているのは中央の1基だけでしたが、建立当時はおそらく他の4基の祠堂もレリーフで飾られ、彩色が施されていたと思われます。まだ心残りはありましたが次のパノムルン遺跡へ向かうために駅に向かいました。

 

保存がよく行き届いたシーコラプーム遺跡

保存がよく行き届いたシーコラプーム遺跡

繊細な彫刻が施されたレリーフ

繊細な彫刻が施されたレリーフ

 

 

 

 

 

遺跡だけでなく景色も最高パノムルン遺跡

パノムルン遺跡前景(参道)

パノムルン遺跡前景(参道)

シーコラプーム駅を9時に出発しましたが、ローカル列車のため車内は蒸し風呂のような状態。約40分かけてブリラム駅に到着しました。ところが、パノムルン遺跡は駅からかなり離れた辺鄙なところにあるため、駅に着いてからが大変。まずは駅前でバイクタクシーを捕まえてバスターミナルまで行きました。車掌らしき人にパノムルン遺跡に行くにはどのバスに乗ったらよいか聞いてみると、幸運にもその車掌の乗るバスが丁度その方向に行くバスとのことで、早速切符を買って乗り込みました。どのバス停で降りるのかもわからないため、車掌にはくどいくらいに降りるところで知らせてくれるようお願いしておきました。

バスに乗って2時間以上が経ち、まだかまだかと思っていた12時半ころ、ようやく車掌が「ここだよ」と教えてくれました。バスを降りて近くの人にパノムルン遺跡はどこか尋ねたら、まだまだずっと先だと言われ、またまた近くにいたバイクタクシーと値段交渉です。結局往復350バーツで話がまとまりました。パノムルン遺跡は死火山の山頂に位置しているそうで、急な坂を上るときはずり落ちないように必死でバイクの手すりにしがみついていました。(坂道でのバイクは怖いですね!)

やっとの思いで遺跡に到着です。入場料を払って入園しましたが、ここはかなり手入れが行き届いているようです。点在するクメール遺跡群の中ではピマーイ遺跡が最も有名ですが、ここパノムルン遺跡は修復も完了し、近年歴史公園としてピマーイ遺跡に勝るとも劣らないものとなりました。山の上から南東の方向にはカンボジアの山並みが望まれ、遺跡もさることながら周りの景色もすばらしい眺めでした。この日は日曜日だった上に何かイベントがあったようで大変人出が多く、家族連れや若者などのグループなどで賑わっていました。保存状態の良い古い建造物を見て昔の姿を偲ぶだけでなく、博物館もありますので時間に余裕のある方はぜひ見学して見てください。

 

神秘的な佇まい ムアンタム遺跡

1時間半ほど見学し、残された時間はあまりなかったのですが、バイクの運転手が「もう1か所見せたい遺跡がある」というので、ここまで来るチャンスはあまりないと思い行ってみることにしました。ムアンタム遺跡という名前で、パノムルン遺跡からは約10㎞、バイクで20分くらいのところにありました。

遺跡に入るにはやはり入場料(30バーツ)がかかりましが、パノムルン遺跡と同様に公園として管理されているようで、非常に綺麗に手入れがされており、家族連れなどの憩いの場所となっていました。入り口を入ってすぐのところにある彫刻の施された大きなレリーフが、まずは入場者の目を引いていました。その右手に建造物がありましたが、入り口正面から見ると建物内部が3重構造になっていました。遺跡の保存状態としてはかなり良さそうですが、規模や手入れの程度としてはパノムルン遺跡には及びません。訪れる人はあまり多くないようなので、じっくり観察したい人にはお勧めかも知れません。今回はその日の内にバンコクに帰らなくてはならなかったため、ほんの上っ面を見ることしか出来なかったことが残念でした。

ムアンタム遺跡を出るときすでに14時を回っていました。再びバイクタクシーで国道まで出てコラート行きのバスに乗り込み、2時間をかけてまずはコラートへ。コラートのバスターミナルで車掌にバンコク行きのバスを聞いてみたら、またまた運が良いことに出発しかかっていた高速バスに1つだけ空席があると言うではないですか。コラートを16時45分に出発し、約4時間をかけてバンコクの北バスターミナルに到着、そこからバスを乗り継いでアパートに辿り着いたのが22時30分でした。

あとからタイ人に聞きましたが、パノムルン遺跡はコラートやブリラムから直通バスがないので乗り継ぎになるのに、よく1人で、しかも1日で回って来たねと感心していました。ハードな旅程で今回ばかりはさすがに疲 れましたが、やる気になれば何とかなるという自信がつきました…。

 

本殿の遺跡あと(ムアンタム遺跡)

本殿の遺跡あと(ムアンタム遺跡)

本殿をバックに記念撮影

本殿をバックに記念撮影

 

 

 

 

 

「コンテンツ提供:D-Mark Magazine」 ref.同誌第33号掲載PDF版

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