続バンコク便り(7月号)
2011年07月16日(土)
コンテンツ提供:会友 斎藤宏氏
(元三菱電機、現在BKK滞在)
サワディー クラップ !
最近の日本は猛暑のようでお見舞い申し上げます。
気温的にはタイの年間を通しての気温(昼間で30℃以上はあります)と同じくらいと思いますが、日本の場合には急激に暑くなりまたスポット的には36~37℃くらいまで上がるところもあるので、皆さん体調維持には苦労されていることと思います。
特に今年の日本では福島原発事故の影響により政府を挙げて節電に取り組んでいるので冷房も温度を高目にセットしたり、冷房を入れないで扇風機で我慢したりしているとのこと、このため熱中症になる人が例年に比べ非常に多いと聞いています。
管首相も頑張ってはいるものの地震と津波での災害への復興に加えて福島第一原発の放射能漏れ事故など大きな難問をいくつも抱え、この先日本はどうなるのか不安がいっぱいです。また首相交代の話も聞こえてきますが、次に来るべき人が見当たらないのではないでしょうか。
7月3日のタイ選挙
一方タイでは7月3日に総選挙が行われ、タクシン元首相の実の妹も立候補してるタイ貢献党がアピシット首相率いるタイ民主党に圧勝し政権が交代しました。
ただ選挙に関して、市民民主連合(PAD)から選挙管理委員会に落ち度があって有権者200万人が投票できなかったので選挙のやり直しを求めているとか、タイ貢献党に公民権停止中の人が選挙活動をしていたので政党法違反となりタイ貢献党を解党すべきだなどといった話があって、いまだに500議席のうち358人が認定されたのに止どまっています。結果がどのようになるかは分かりませんが、場合によってはまた赤シャツ軍団と黄シャツ集団のひと暴れにつながる可能性があります。
いずれにしても8月半ばまでに新首相が選出される予定です。
サムロイヨート国立公園
さて次は本題の旅紀行のお話です。先回はタイ北部(ウタラディット県)のシリキット ダムを訪れたので、今回は逆に南タイの旅を計画しました。
場所はプラチュアップキリカン県と言って避暑地で有名な「ホアヒン」のある県です。
目的としたのは、ホアヒンから40kmぐらい南に行った「サムロイヨート国立公園」とさらに南に70km行ったワーコーという町(県庁所在地のプラチュアップキリカン市から南へ約10kmのところ)にある「水族館とラーマ4世記念科学技術公園(Waghor Aquarium & King Mongkut Memorial Park of Science and Technology)」の2か所でした。

ジーゼル特急列車(スプリンター)・バンコク中央駅
まずは例によってバンコク中央駅(フアラムポーング駅)から列車の旅で始まりました。
朝8:05発の特別急行列車(タイ人はスプリンターといっています)でホアヒンに向かいました。
途中工事区間があって予定ではホアヒン着が11:26でしたが、約1時間遅れの12:15でした。
朝早く家を出たので食事もろくにしていなかったので11時ころには空腹で困っていたところ、何と車内で弁当とコーヒーのサービスがありました。
弁当はご飯に鶏肉と野菜の炒めものの付いたさっぱりしたものでしたが、お腹が空いていたためとてもおいしく感じ、全部たいらげてしまいました。
サムロイヨート国立公園に行くには、ホアヒン駅で18分待ち合わせで鈍行列車に乗り継ぎ「サムロイヨート駅」まで行ってバスで行く予定でしたが、特急が1時間近く遅れたため乗り継ぎが出来ませんでした。(予想通りでしたが、)
しかたなくホアヒンからバスでサムロイヨートに行こうと思いバス停に行ったところバスは出たばかりで50分待ちましたが一向に来ないので、時間の関係もあり国立公園行はあきらめホアヒンの町を散策し、夕方の列車でプラチュアップキリカンに向かうことにしました。

王室専用駅舎(後方はホアヒン駅舎)
ホアヒンには何回か来ていますが、久し振りのホアヒンは以前より何となく街並みがきれいになった感じがしました。
この日はとても暑かったのでクーラーの効いたMACで40分ほどねばり汗の引いたころ店を出て海岸に行ってみましたが、特に見るところもないので早々とホアヒン駅に戻りました。
列車の時間まで約2時間ありましたので、王室専用の駅の待合所を見物したり、駅の真ん前にある「Royal Hua Hin Golf Course」のクラブハウスに行ってコーヒーを飲んだりして時間をつぶしました。

サムロイヨート国立公園の険しい山並み(車窓から)
夕方6時前に鈍行列車に乗り一路プラチュアップキリカンへ向かいました。途中最初に行く予定にしていたサムロイヨート国立公園の山並みが車窓から眺められましたが、山並みは長さがおよそ20kmはありここを見学するには少なくとも半日以上はかかると思われ残念でしたが、結果としてパスしたのが正解だったと思いました。
夜7時にはプラチュアップキリカンに到着し、3年前に泊まったことのある「スクサン ホテル」に直行し宿泊を決めました。チェックインするとき一泊550バーツと言われましたが、会社の営業の名刺を見せたら「セールスマンは50バーツ引きですよ」と言われ、結局500バーツで泊ることが出来ました。
ワーコー & 水族館とラーマ4世記念科学技術公園

プラチュアップキリカンの日の出(6:30)
次の日は朝早く起きて日の出を見に行きました。
3年半前にここに初日の出を見に来たので、懐かしい思いと長い期間無事に過ごせてきたことに対しお日様に感謝の祈りをいたしました。
ジョーク(お粥)で朝食の後街なかをぶらつきましたが、小さな町で特別見るところもなかったので早々と次の目的地「ワーコー」に行くことにしました。まずは足の確保です。
サムロー(側車付バイクタクシー)のたまり場に行ってワーコーまでの値段の交渉をしようと思っていたら、すでに行き先ごとに値段が決まっていて一覧表が表示してありました。
300バーツとのことでちょっと高いと思いましたが、言い値で乗ることにしました。今回のバイクタクシーは普通のバイクタクシーと違って客専用の椅子が側車に付いているので、安心して乗っていることが出来ました。(最後の写真参照) 途中びっくりした光景に出合いました。それはワーコーに行く県道に直角に飛行機の滑走路が横切っている姿でした。県道には滑走路の入り口側と出口側に信号機があって、飛行機の発着時には通行止めにするようになっていました。

国鉄ワーコー駅(駅らしくない駅?)
ここプラチュアップは海岸からミャンマー国境までたった11kmの幅しかないので、万一の場合に備えた空軍用の滑走路とのことです。 約40分でワーコーに到着です。ワーコーには国鉄の駅がありますので列車で来たかったのですが、1日に1本しか列車(鈍行のみ)が止まらないため、やむを得ずサムローにしたわけです。
ワーコー駅は駅とは名ばかりで、乗客のための小さな待合小屋がありホームは枕木を並べたものでところどころに穴が開いていて、今まで降り立った駅からは想像できないレベルのものでした。
目的とした「水族館とラーマ4世記念科学技術公園」はそのワーコー駅の真ん前にありました。この公園はラーマ4世(モンクット王)の科学探究の業績をたたえて造られています。まず入り口には大きなゲートがあり、入るとすぐ大きな水族館の建物がありました。

科学技術公園の入り口のアーチ

まるで海の底にいる感じ(水中トンネル)
この公園での一番の目玉は水族館で、大きさ規模ではタイ国内で有数のものと思います。
建物に入るとまず両側にいくつもの水槽があっていろいろな種類の魚を見ることが出来ます。
両側に魚を見ながら道を下っていくと中央に巨大な透明な水槽が現れ、中には色とりどりの熱帯魚に混ざって大きなサメやクエ(?)などが悠然と泳いでいました。
さらに進むとこの巨大な水槽の下に透明のトンネルがあって魚たちを下から眺めることが出来、まるで自分が水の中にいるような感じでしばらく時間がたつのも忘れて見ていました。
水族館には興味があるので、以前パタヤやバンコク(サイアムパラゴン)、スパンブリの水族館には行ったことがありますが、これだけの 規模のものはありませんでした。
一通り見学して外に出ると水族館の前に広い湿地帯があって、そこにはきれいな花が咲いていて目を楽しませてくれました。
ここの公園は名前にある通り「科学技術公園」ですので水族館以外にたくさんの施設がありますので、ぜひ見て回りたいとサムローの運ちゃんに話すと二つ返事でOKがもらえました。
まずは公園の名前にもついている「モンクット王(ラーマ4世)」の銅像に行ってみました。そこにあった看板にはラーマ4世は自然科学に大変興味を持って研究されいろいろ業績を残されたと書いてある、と運転手が説明してくれました。特に天文学には興味を持たれ、望遠鏡を使っての宇宙の探究には熱心に取り組まれたそうです。

宇宙の歴史を分かりやすく説明したパネル
次に行ったのはその天文学をテーマにした8階くらいの高いドームを持った建物で、中には天文に関する展示物や写真・説明書などがたくさんありました。
その中でも特に興味があったのは、中央の高いドームの内壁に螺旋状階段があってその壁にはやはり螺旋状に宇宙創造の歴史絵が下から上に順番に描かれているものでした。ただ説明がタイ語で書かれていたものですから内容がよく分かりませんでしたが、写真や絵がふんだんに使われていましたので、内容的にはよく分かりました。
この建物の中にはエアコンがありましたが、ドームの中があまりにも広いので冷房が足りず6階ぐらいまで歩って上りましたが、汗だくになってしまいました。降りてきて別棟の展示室に入りましたが、ここは冷房が効いていたのでゆーっくり展示物を見ながら汗の引くのを待ちました。
またサムローに乗って移動しましたが、途中古代の石(化石)や巨大な恐竜の模型などがありました。さらに進むと蝶々を放し飼いにしている金網張りの建物がありましたので入ってみることにしました。中にはきれいな花がたくさんありよく見るとその花に蝶々が止まっていましたが、近づくと蝶が逃げてしまうので写真を撮るのに苦労しました。

ランの花にとまる蝶々(タイミングよく撮れました)
やっと1枚何とか取れた写真が右の写真です。
この公園にはこの他「星の科学館」や「科学の広場」といったようなものがたくさんあって、とても1時間ていどで見切れるものではなく、公園内には簡易宿泊施設があって学生などはここに泊まって1日掛りで見学をしているようです。
1時間半くらいの見学で急ぎ足でしたが、ポイントは見て回れたように思いました。
帰りはまた来た時のサムローに乗ってプラチュアップに戻りましたが、運転手さんはとても親切で3時間余り付き合ってくれプラチュアップに戻ってからも町の中をあちこち案内してくれ、最後に前に来たことのあるお寺「タマガーラームウォンウィターン寺院」で降り別れました。このお寺の別院は山の頂上にあり別名「猿山のお寺」として有名です。

親切なサムローの運ちゃん(名前はヤイさん)
足が痛かったのでどうしようか迷いましたが、結局登ることを決心し396段の階段を40分かけて登り切りました。汗だくになりましたが頂上から見下ろすプラチュアップの町や海岸線さらにミャンマーの山並みを見て疲れも吹き飛びました。
山を下りて駅まで行くことにしましたが、結構距離があったのでさっきの運ちゃんに電話をしたらすぐ迎えに来てくれ、駅までフリーで乗せてもらいました。楽しい思い出を心に残し、また特急列車に乗ってバンコクに戻って来ました。