続バンコク便り(5月号)
2011年05月10日(火)
コンテンツ提供:会友 斎藤宏氏
(元三菱電機、現在BKK滞在)
サワディー クラップ !
約2年のご無沙汰でしたが、昨年7月から前と同じ仕事のためまたまたタイに戻ってきましたので、「続バンコク便り」として皆様にタイの情報をお届けします。
ただ今回は健康的な事情があるので前回ほど精力的には動けませんが、動ける範囲内で精一杯情報を集め皆様にお便りしますので、今後ともよろしくお願いします。
ちょっと古い情報ですが、昨年5月に一度遊びでタイを訪れていますが、このときは反政府デモ隊(UDD)のデモ(というより暴動に近かったと思います)が一番激しかった時期で数十人の死者が出たり、町の建物も放火されたり略奪があったりして大変な騒ぎにまで発展しました。4日間ほど滞在しましたが、宿泊は安全を考えバンコク郊外のホテルを取りましたので、夜はバンコクでは外出禁止令が出たりして安全に問題があったため、食事やショッピングなどで一度も町に出ませんでした。
それに比べ最近のタイの情勢は比較的落ち着いていて、昨年の出来事が嘘のように思えますが火種は残っていますのでまたいつ再燃するかは予断が許せません。
乗り物の話題

スピードは早いが乗り心地はいまいち
さて話題を変えて私の大好きな乗り物についてお伝えします。
最初は「スワナプーム空港」と「バンコクの中心地(パヤタイ)」を結ぶ鉄道開通の話題です。名前は「エアポート (レイル) リンク」といって、空港と街の中心を急行は20分で普通は30分で結んでいます。昨年9月に試運転を始め最初の3ヶ月間はフリーでしたが、その後空港―バンコクは当初普通は15バーツ・急行は100バーツで運行されましたが、その後値上げされ現在では普通が45バーツになっています。
朝夕のラッシュ時には通勤通学の人々でいっぱいになりますが、日中は旅行者などが思ったほど利用していないようで人もまばらです。
私も何回か普通に乗りましたが、電車はお世辞にも乗り心地はよくありません。
- ドアが閉まるとき、最後にバタンと大きな音がするのでビックリする。
- 椅子がPL製で表面がつるつるして、硬くて座り心地が悪い。
- 椅子の終端に肘掛けが無いので電車の加速がいいためお尻が滑って落ちそうになる。
- 椅子の座り部分が奥行き30cmと少なくお尻の骨が当たり、座り心地(安定)が悪い。
- 通勤用としては片側2ドアでは、ドア数が少なすぎる。(乗り降りに時間がかかる。)
- ポイントでの横揺れが大きく、棒やつり革につかまっていないと倒れそうになる。
ちなみに車両はBTSと同じシーメンス社製で、人間工学から見てあまり良い設計ではないと思いました。またつい先日モータの整流ブラシが予想以上に早く消耗し、サービス部品が切れたため1週間くらい電車の運行が止まりました。
もうひとつは「BRT」と呼ばれている路線バスです。普通の路線バスとは違って道路の中央線寄りを走り、停留所も道路の中央にあります。(路面電車のような感じです。)
丁度名古屋の市バスにこのような形のものがありますので想像してみてください。走行レーンはこのバス専用になっていて、他の車が入れないように土手?があり朝夕のラッシュ時にはすいすい走れ威力を発揮しているようです。
次は皆様お馴染みの「BTS(高架鉄道)」の話題です。
ただ今回は路線が開通したのではなく、開通したらいいなという思いから取り上げました。現在のBTS東西線(サイアムーオンヌット)は皆様ご存知と思いますが、オンヌットからバンナー交差点を通ってサムロングまで延長工事が行われています。
私事ですが、サムロングの駅は私の住んでいるアパートから近い所にありますので、この線が開通すると家から会社まで乗り換えなしに1本のBTSで通うことが出来ます。もう外観上は全て出来上がっていますが、何故か開通は8月頃になるとのことです。また最近乗客の増加でBTSシーロム線は4両編成(従来は3両編成)の新車両を投入し混雑緩和を計っています。
コンケン市観光

久し振りのフアラムポーング駅(バンコク中央駅)
さて次の話題は旅紀行についてです。今回はタイ東北地方のコンケン県にある「ウボンラット ダム」に行ってきましたのでその様子をお伝えします。
4/30,5/1と連休があったのでその前日にどこか旅行に行きたいと急に思い決めました。
ウボンラット ダムに決めたのは、タイのダムには王族の方の名前(プーミポン国王やシリキット王妃など)が付いているものが多く、まだ行ったことのないウボンラット ダム(王女のお名前)に行きたいと思ったからです。
まずは8時20分の列車に乗りたいと思い、家を6時に出てバンコク中央駅に向かいました。
運良く3等の指定席があったので早速購入し列車に乗り込みました。連休とあって車内はいっぱいの人で座れない人もたくさんいました。コンケンまでの8時間の列車の旅の始まりです。
この日はとても暑く3等の座席指定とは言うものの、涼は天井の扇風機と窓から吹き込む風だけのため、汗は拭いても拭いても流れ落ち30分もしないうちに汗だくになりました。朝食も取らずに家をでたので、まずは腹ごしらえと駅の7イレブンで買ってきたパンとジュースで食事です。

とても気さくで親切なピットさん
やることもないので外の景色を見たり本を読んだりしていましたが、3時間もするとやることもなくなり退屈していると、隣に座っていたタイ人が話しかけてきたので、丁度良いと思い話を始めました。
名前はピットさんといって休みを利用して実家のあるウドンタニに帰るとのことでした。
お互いの仕事のこと、家族のこと、食べ物のこと、趣味のことなど長々と3時間ほど話をしていました。そして最後に今度イサーン(東北タイ)に遊びに来たら必ず電話をしてくれと携帯電話の番号まで教えてくれました。もう座っているのも限度と思った夕方4時過ぎにやっとコンケンに到着です。コンケンはイサーン第二の大きい都市です。
コンケンには以前2回ほど来ていますが、前回行けなかったところがあったのでまずは駅前のトゥクトゥクと交渉し連れていってもらうこととしました。
そこは「ノーング ウェン寺」といって高ーいパゴダを持ったきれいなお寺で、以前来たときには遠くからその高いパゴダだけ見て、次には必ず来ようと思っていたところです。トゥクトゥクで走ること20分でお寺に到着です。
お寺に着いてまずパゴダの素晴らしさに圧倒されました。

夕日を受け黄金色に輝くノーングウェング寺

線香・献花の作法は大体分かったつもりです?
パゴダは10階建の多重層建築で高さはおよそう40mくらいあり、折から夕日を受け黄金色がまばゆいばかりでした。
そしてパゴダの周り四隅にはパゴダのミニチュア(高さは20mくらい)が配置され、主パゴダの威風を一段と際立たせていました。
早速旅の安全と無病息災を願って仏様にお参りしようとパゴダの中に入ったら、そこに仏様が祀られていました。そこで気がついたのですが、タイのお寺では寺の建物とパゴダ(仏塔)とは普通別になっていますが、この建物はパゴダと言うよりお寺そのものだと思いました。
この日は日曜日でしたが人出ではあまりなくお参りしている人も5~6組程度でしたが、皆さん熱心に祈りを捧げていました。
私もお金を寄進箱に20バーツ(近くにいたタイ人に聞いたら、寄進額はあなたの気持ち次第ですと言われました)入れて、お花と線香をいただき祈りを捧げました。

運賃は高かったが親切な運ちゃんで納得!
その後このお寺の上層階まで行きたかったのですが、この日は5時半を回っていたため入館が終了しており、残念ながら上には行けませんでした。やむを得ず待たせていたトゥクトゥクに乗り町に戻りましたが、とても親切な運転手さんで途中で市民の憩いの場所でもある「ブンケン ナコーン池」に立ち寄り案内してくれました。その後いつものように運転手さんに頼んでホテル探しですが、運良く一泊350バーツでエアコン付きのきれいな室が見つかり、即宿泊決定です。
ホテルで一息ついた後夕食に出かけましたが、近くにアヒル料理のレストランがあったので、豪華に普通なら2人前くらいの量のある「焼きアヒル肉料理」を食べました。その後次の朝行くバスセンターの場所を確かめながらホテルに帰り、疲れもあったためすぐ就寝しました。
ウボンラット ダム見学記
次の日は8時にホテルを出てバスセンターに向かいました。この日は今回の旅行の目的としている「ウボンラット ダム」行きです。
センターで確かめるとウボンラットの町まで行くバスは9時発とのことで、しばらく時間があったのでこの間に朝食です。といっても簡単なもので「串焼き豚肉4本」と「もち米のご飯」を屋台で買って、バスセンターの待合所の椅子に座っての朝食です。
タイの地方へ行くと日本と違って冷房付きのまともなレストランを探すのは大変です。もし皆さんの中でツアーでなく自分の足でタイの地方に行きたいのでしたら、屋台での食事を覚悟してください。(7イレブンは小さい町でも大体 ありますので、屋台がだめな人は7イレブンを使うのが良いでしょう。)
いよいよバスに乗り込むとき車掌に「ウボンラット ダムに行きたい」と話したら、「このバスは手前のウボンラットの町が終点です」と言われました。
でもまあ行けば何とかなると思い、そのままバスに乗り込みました。
コンケンからはまず国道2号線を北に走りましたが、途中から県道2109号線に入り畑や田圃のある田園風景の中を走りましたが、突然携帯電話が鳴ったのでこんな日曜日に一体誰が電話してきたのかと思い電話を受けたら、何と昨日列車の中で話をし合ったピットさんからで、ダムに無事着いたかどうか心配して電話をくれたのでした。
そうこうしているうちにウボンラットの町に着きましたが、運良くバイクタクシーがいたので連れていってもらうことにしました。
20分ほどでダムに到着です。早速ダムの堰堤を歩ってダム湖の風景を楽しみましたが、タイのダム湖の中では大きさが1,2を争うだけのことはあって見渡すかぎり水水水です。下(左)の写真は展望台からのものです。
展望台の脇にはお寺があって一息入れていると、コンケンから仏様を拝みに来たという女の子と一緒になり20分ほどいろいろな話をしましたが、最後に皆で写真を撮ったときぜひEメールで送ってくださいと言われ約束をしました。
帰りにまた堰堤を歩きましたが、発電所がありましたが湖は大きいのですが落差が余り無いため、発電所の規模としてはこじんまりとしたものでした。

ウボンラット ダムの一部です(人物は筆者)

タイ人は仏様を拝みに来るときは正装しています
ダムから町までは来たときのバイクタクシーに電話して迎えに来てもらい町まで出て、またおんぼろバスに乗ってコンケンまで戻ってきました。

コンケン市のラック ムアング(市の柱)
夜行列車の時間までかなり時間があったので、昨日行ったノーング ウェン寺にもう一度行こうと思っていたら、突然の夕立それもバケツをひっり返したような激しい雨が約1時間も降ったものですから、雨宿りをしていた7イレブンから一歩も外に出られませんでした。店の前の道はみるみる大洪水でお寺に行くどころの話ではなくなりました。
やっと小降りになったので店を出て町をぶらつきましたが、駅の近くにいかにもタイらしいかわいい建物があったので立ち寄ってみました。
そこはラック ムアング(市の柱)といって町の礎となる聖なる石を祭ったところで、旅の最後にまたお祈りをしてきました。
その後コンケン駅に出て夜行列車に乗り10時間かけてバンコクに戻ってきました。