非常事態宣言(タイ王国)について
2009年04月25日(土)
日タイロングステイ交流協会 事務局長 上東野幸男 (09-4)
09年4月・タイ政府(首相)は、反独裁民主連盟・UDD(赤シャツ)デモがパタヤ(チョンブリ県)の東アジアサミットなどの国際会議妨害や首相府(バンコク)の包囲などに対して「非常事態宣言」を発令した。
日本では「デモと軍・警察の衝突場面のピンポイント映像」と「非常事態宣言の言葉のイメージ」により実態よりオーバーに伝わってしまう。いつものことながら確かに報道は「事実」を伝えているが、「真実」を伝えているわけではない。
即ち クーデターもデモ騒乱も局地限定であり、区域外の市民生活は平穏そのものであり、タイ国民は昨年9月から4回もの非常事態宣言から「慣れっこ」になっている。
従って 国際社会の受け取り方や反響などをタイ全体が軽視してしまうことが問題である。
また タイの官公庁や旅行業者が「平穏・安全」と訴求しても信用されないのである。
一方 日本では敗戦までは、旧憲法に「戒厳令Martial Law」(天皇の大権)、旧警察法には「非常事態宣言」(首相発令)があった。現在の「有事法制」がそれに近いと思われるが、非常事態宣言はなにか「危険・恐ろしい」という強烈なインパクトを与える言葉である。
ちなみに タイ王国の「非常事態宣言の内容」は 下記のとおりである。 05年制定の「非常事態下での統治法」第9条に基づき、非常事態宣言下の地域では以下の内容が禁止される。
- 5人以上の集会および秘密会議、もしくは治安を乱すと考えられる行為を禁止
- 国民に不安を与える記事、治安に関し国民に誤った情報を提供する記事を新聞などすべての媒体を通じて配布・販売することを禁止
- 治安維持責任者が指定した交通路・交通機関の一般利用を禁止
- 治安維持責任者が指定した建物への一般の立ち入りを禁止
- 治安維持責任者が指定したエリアから市民を移動させ、指定エリアへの出入りを禁止
* 今回の治安維持責任者はステープ副首相
了