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日タイロングステイ交流協会

タイ国歌・国王賛歌 ~日本・マレーシア・インドネシア・英・仏と比較して~

2007年12月20日(木)

日タイロングステイ交流協会 事務局長 上東野幸男 (07-12)

 

映画は日常のTV放送や多種多様なソフト(DVD・CD・VT)で鑑賞できる。従って海外旅行やロングステイの場合に、音楽会・劇場・美術(博物)館には行ってもわざわざ映画館に行くことは稀である。芸術関係は全く不得意な小生でも、海外旅行中ボリショイ劇場(モスクワ)、オペラ座・ムーランルージュ(パリ)、ブロードウエイ(ニューヨーク)などから夜遅く地下鉄と人通りのない道をこわごわとホテルに帰ったこともある。

タイ王国に住んで、タイ舞踊(バンコク、チェンマイ)、ラーマキエン舞踊劇(スコタイ)、博物館(バンコク、スコタイ)などに出かけたあと(滞在2年経過後)ようやく映画館に行くことになった。 バンコクの映画館は予想以上に立派で整然としており、空調も快くウトウトし始めた瞬間、突然画面に国旗や国王陛下のご尊顔が映り、周囲の観客は全員立ち上がり、音楽が流れた。タイ国旗は毎日見ており、国歌は朝8時・夕6時に流されるのでバンコク中央駅や地方では直立して聞くことがあったが、国王賛歌との初めての出会いはこの映画館であった。

昨年12月ワットパクナム日本別院(千葉県)のプミポン国王陛下ご生誕80周年記念祝賀式典(在日タイ人300名)では、駐日スウイット大使はじめタイ国民の皆様は「国王賛歌」と「国王陛下ご生誕80周年祝賀特別歌」を斉唱された。

また大阪の祝賀行事(600名)でも、冒頭にタイ・日本両国の国歌が演奏され、最後に総領事以下全員で同じく両曲を歌ったと聞いている。タイ王国国歌・国王賛歌とタイ王国と同じく立憲君主国の日本・イギリス・マレーシアと共和国のフランス・インドネシアの国歌を比較してご紹介する。ちなみに日本人海外ロングステイ希望国順位は、マレーシアは第1位、タイ王国は第3位、インドネシアは第8位、イギリスは第9位、フランスは第13位である。「ロングステイ調査統計2007」(ロングステイ財団)

 

タイ王国 「プレーン・チャート」 国歌 (訳 高田三九三)
われら タイ国民は 互いに心を合わせ 尊敬を忘れずに
平和を守りて 手をつなぎ 団結せん 戦を恐れず われらが国のため
捧げんこのいのち 万歳

 

タイ王国「プレーン・サンスーン・プラバーラミー」 国王賛歌  (訳 高田三九三)
尊き王の慈しみを受け 栄えゆくわれら われら国民を統べたまえ
  永遠に 長く生きたまえ きみが望み すべてはかなえられん
望むものすべて きみが御手に来たらん 万歳

 

日本 「君が代」
君が代は 千代に 八千代に
さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで

 

イギリス 「God Save the Queen」
おお 神よ 我らが慈悲深き女王陛下を護り賜え
我らが気高き女王陛下よ とこしえにあれ 神よ 女王を護り賜え
   君に勝利と幸せと栄光を与え賜え 御世の永からんことを
   神よ 女王を護り賜え

 

マレーシア 「Negaraku=わが祖国」
わが国よ 私の人生の始まった場所 人々が調和し繁栄して暮らす場所
神から与えられた幸せによって祝福される 我らが王が平和に統べる
神から与えられた幸せによって祝福される 我らが王が平和に統べる

 

フランス 「ラ・マルセイエーズ」
さあ 祖国の子供たちよ 栄光の日がやってきた
我らに向かって 暴君の血塗られた御旗がはためいている
血塗られた旗がはためいている
戦場で 獰猛な兵士たちがうごめいている音がきこえるか?
息子や仲間たちの首のかっ切りに やつらは我らの元へとやって来ている
武器を取れ 市民たちよ そして軍を組織せよ!
進め 進め あの汚れた血を我らの田畑に飲み込ませてやるのだ

 

インドネシア 「偉大なるインドネシア」
インドネシア 我が祖国よ 汝のために我が血を流そう
母なる大地を守る兵士とならん インドネシア 我が国家 我が祖国
高らかに叫ばん 「インドネシアは団結せり!」
祖国に生きる全ての人々 精神と肉体を養うのだ
偉大なるインドネシアのために

 

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日本の「君が代」の歌詞は短く、国民の行動でなく願望的な内容である。
註:さざれ石は「細れ石」=小さい石 である。

タイ王国は仏教国・王様の国ではあるが、国歌には「戦争」の文字も入り、国民を鼓舞し行動を促している。これはインドシナ半島の中で「クメール王国を滅ぼしたり、ミャンマーに滅ぼされたり」の戦乱の歴史を反映していると思う。また日本や英国のような「君主の治世が末永く」は国王賛歌になっている。

英国の「God Save the Queen 神よ 女王を護り賜え」は永らく世界中に広く知られている。英連邦に加盟している、イスラム教のマレーシアは多民族の結束を強固にする絆の国歌である。
註:マレーシアの国王は任期5年の輪番制である

一方 共和国フランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」は絶対王制を倒した革命の歌であるから、戦闘的・血なまぐさい歌詞である。インドネシア共和国(最大のイスラム国)も 祖国を守るための団結を訴えており、「血を流す・兵士」の言葉がある。

ロングステイでは「郷に入っては郷に従え」を基本にし、その国の国民・歴史・文化を理解することに務めてほしいものです。

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