世界遺産~タイ国と日本~
2007年07月31日(火)
日タイロングステイ交流協会 事務局長 上東野幸男 (07-7)
今年のユネスコ世界遺産登録で、日本の「石見銀山」は諮問委員会から事前に否定的見解が出されたが、文化遺産として目出度く登録された(但し世界遺産委員会からは、地下の遺構を保存するために発掘を進めることが勧告されている)。
日本の世界遺産としては 14件目であり、産業遺産(科学技術や産業活動の拠点)としては初めてである。
一方タイ王国には、自然遺産がファイ・カ・ケン野生生物保護区(91年)とカオヤイ 国立公園(05年)、文化遺産は王都であったスコタイ(91年)、アユタヤ(91年)周辺の古代都市群と古いバン・チェン遺跡(92年)の計5件であったが、日本と対照的に5月には天然資源・環境省が「ユネスコは *タイ東北部のクメール遺跡群 *洞窟壁画の あるプープラバート歴史公園の2ヵ所を新たに世界文化遺産に指定した」と発表した。 ところが両件とも登録見送りとなり、タイ国と日本のお国柄を反映した感じでもある。
ところで、我々日本人はクメール遺跡と聞けばカンボジアの世界遺産「アンコール・ワット」「アンコール・トム」を思い浮かべる。アンコール王朝は、最盛期には東はベトナム中南部からラオス南部、西はタイ東北部からスコタイ・アユタヤまで支配していたが、15世紀にアユタヤ王朝に滅ぼされた。カンボジアのシエムレアプから西に延びるアンコール街道はタイ王国を横切っており、タイ王国にはアンコール遺跡は130以上存在する。
今回申請した「ピマーイ遺跡 (ナコーン ラチャシマ県)、パノムルン遺跡とムアンタム遺跡(プリラム県)」は10~13世紀に建設され、タイ国内では最大規模である。
また カンボジア領の国境断崖にある有名なカオ・プラヴィーハン大神殿遺跡はタイ国からしか行くことができないのである。
世界遺産登録は見送りにはなったが、ロングステイヤーの皆様には、タイのアンコール・ワットといわれ、保存状況も良いピマーイ遺跡を訪ねる旅(バス)をお勧めしたい。
- バンコクからカンボジャのアンコール・ワットの旅(バンコクエアウエイズ利用)の手元チラシ(スマイル・ツアー、4月~6月有効)では、1泊2日が16,300から20,300バーツ、2泊3日が18,600から25,600バーツである。
- 一方 タイ国内のピマーイ遺跡と世界遺産カオヤイ国立公園を巡るほうが安価で充実した旅になると思っている 。タイ王国が世界遺産に申請したピマーイ・パノムルン・ムアンタムの3遺跡の日帰りツアー(ウエンディ・ツアー)は3,200バーツ程度である。
昨年来の治安・政治問題によるイメージダウンのタイ王国では8月に新憲法国民投票が予定され、年末総選挙で暫定政権から民主政権に戻ることが確実になってきているのは喜ばしいことである。